経営管理ビザは学歴・語学などの制限条件がなく、一定な経済力かつ日本での生活に興味があり、起業したい外国人にはよい選択肢になります。
日本政府は優秀な外国人材を誘致するため、2023年4月から特別高度人材制度(J-Skip)が導入され、中にはグローバルな事業展開を行う企業等の経営者等に対して、「高度経営・管理活動」 : 本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動の在留資格を付与し、経営管理ビザのアップデートバージョンとも言えるでしょう。ここでは、通常の経営管理ビザについて紹介させていただきます。
ご興味がある方、ぜひ、当事務所にお問い合わせください。
経営管理ビザとは
☝出入国在留管理庁には在留資格「経営・管理」について、上記のように定義されています。昔は「投資・経営ビザ」と言われていましたが法改正で呼び名が変わっています。
経営管理ビザの申請条件
☝上記出入国在留管理庁の公式HPには経営管理ビザの基本的な申請条件が記載されています。
それ以外に、
事業内容の実現可能性および安定性・継続性が見込まれること
申請人が実質的な経営を行うこと
事業の準備ができている状態であること
等がございますが、詳しい情報については当事務所へお問い合わせください。
会社設立・経営管理ビザの申請流れ図解
A パターン:経営管理ビザの申請人が海外にいる場合(日本に進出、日本で起業)
Bパターン:経営管理ビザの申請人が日本国内にいる場合(会社員から独立、大学卒業して起業)
経営・管理ビザの申請流れ
▶1 継続可能な事業計画書を作成し、事業全体の概要を纏める
▶2 事務所の所在地を確保する
▶3 会社設立の手続きする
▶4 事業の必要な許認可を取得
▶5 経営管理ビザの申請資料準備する
▶6 入管にてビザ申請する
▶7 経営管理ビザ許可
経営・管理ビザ申請についてのQ&A
今まで見聞きした経営・管理ビザ申請についてのQ&Aとしてまとめましたので、ご参考下さい。
Q.「経営・管理ビザ」の申請してからの審査期間はどのくらいですか?
☞ 通常2~3ヶ月です。ただし、事情によってはそれ以上になることもあります。
Q.経営管理ビザを取得するには必ず会社設立が必要ですか ?
☞ 会社設立はビザ申請のため必ず必要なことではありません。個人事業でも、店舗や事務所などがあれば、会社設立をしなくてもビザを取得できる場合があります。ただし、多くの場合、会社を設立したほうがビザが下りやすくなることが多いので、会社設立することをお勧め致します。
Q.会社を新規に設立しない場合でも、友人の経営している会社の共同経営者となって、経営管理ビザが認められる場合はありますか?
☞ はい、既存の会社の経営者になる場合でも認められることはあります。M&Aにより会社を買収して従来の経営者に代わって経営者となる場合やすでにある会社に経営者として追加的に参画する場合などにも認められます。
Q.自分は、会社を経営した経験はないのですが、経営管理ビザの取得は可能ですか?
☞ 会社経営の経験がなくとも、会社経営に必要な知識があり、入管職員の目から見て問題がない事業計画書を作成できれば、経営管理ビザを取得することは可能です。ただし、経営者としての資質があり、安定的、継続的な経営が見込めるかについては、通常より厳しく審査されます。
Q. 株式会社でなく、合同会社でも経営管理ビザの取得は可能ですか?
☞ はい、可能です。当事務所では、株式会社と合同会社の違いにつきまして、ブログも書いてありますので、興味がある方はぜひご覧になってください。
Q. 経営管理ビザの申請はお金も時間もかかり、面倒です。経営管理ビザを取得せずに、商用の短期滞在ビザで来日して会社経営を行ってはいけないのでしょうか?
☞ 日本の会社から報酬をもらうのであれば、短期滞在ビザでの来日は違法です。短期のマルチビザを持っている場合も同様です。
日本の会社の経営者に就任し、報酬を受ける場合には、「経営・管理ビザ」の活動を行うことになりますので、たとえ会議や連絡業務のため来日する場合であっても、経営管理ビザを取得したうえで入国しなければ違法となります。気をつけてください。
Q NPO法人の理事長、理事も、経営管理ビザの対象となりますか?
☞ はい、NPO法人の理事長、理事も、経営管理ビザの対象となります。経営管理ビザが認められる業務としては、株式会社や合同会社の営利目的のビジネスでなくてもOKです。一般社団法人の理事や、公益社団法人の理事等でも認められることがあります。
ただし、NPO法人の場合、経営基盤が弱いケースが多いことから、経営の安定性、継続性についてはしっかり示す必要があります。
Q.「経営・管理ビザ取得のために資本金はいくら必要ですか?日本の会社法上は、資本金は1円以上あればよいこととなっていると聞いたのですが、1円で会社設立した場合でもビザは許可されますか?
☞ 基本的には、500万円以上の資本金が必要ですので、500万円をひとつの目安として、事業内容に応じて資本金をいくらにしたらいいか判断しましょう。。
特に、経営管理ビザの審査においては、「事業の継続性」がひとつのポイントとなります。ですから、事業計画との関係で、これだけの資本金で果たして本当に事業が可能なのか?という疑問を入管の審査官に抱かせない程度の資本金の投入は必要であると思います。
Q.資本金が500万円以上必要なのはわかりましたが、資本金は親からの借入金でも良いですか?
☞ はい、借入金で資本金の出資金とすることは違法ではありません。ただし、借入金を証明する書類及び、事業計画書において、合理的な返済計画を含める必要がありますので、その分書類や説明が増えることになります。
Q. 経営管理ビザで経営が軌道に乗るまで、アルバイトで生活していきたいです。可能でしょうか?
☞ 法律上は資格外活動の許可を受ければ可能です。但し、実務上、経営管理ビザを持つ方が生活が苦しいからアルバイトがしたいと言って資格外活動許可の申請をしても、許可はされません。
従って、実際上、経営管理ビザでアルバイトをすることはほぼ無理とお考えください。
Q.日本で経営管理ビザを申請する場合、2名の常勤の従業員を雇用しないといけないと聞きましたが、本当ですか?
☞ 経営管理ビザの条件のひとつとして、「500万円以上の投資」または「日本人、日本人の配偶者、永住者、定住者等の2名以上の常勤従業員の雇用」があります。
二つの項目の間には「および」ではなく、「または」となっていますので、500万円以上の投資があれば、従業員の雇用は必須ではありません。もっとも、500万円以上の投資があり、かつ、従業員2名以上の雇用があれば、一般に審査上有利に扱われることにはなります。
Q.同じ会社で数人分の経営管理ビザを同時に取得できますか?
☞ 経営管理ビザを取得できるケースもありますのでケースバイケースですが、難易度が上がりますので基本的にはおすすめできません。
同じ会社の場合に、複数の役員が経営管理ビザの対象となるかどうかは、その会社のビジネスの規模にもよります。
例えば大きな会社であれば、2名の役員が同時に役員として経営管理ビザを取得できる可能性は十分あります。
しかし、資本金も小さく、小規模な貿易会社を立ち上げ、設立当初から2名の役員を同時に経営管理ビザで申請することはおすすめできません。この場合に考慮されることは、①事業の規模や業務量、②業務上の役割、③報酬を受けるか否か、などの点です。
Q.経営管理ビザで使う事務所は、バーチャルオフィスではダメですか?
☞ 経営管理ビザの事務所は、事業実態のあるものが必要ですので、バーチャルオフィスでは認められません。事務所の詳しい条件につきまして、当事務所にお問い合わせください。
Q.事務所の家賃を払うのがもったいないので、自宅を事務所として、経営管理ビザの申請をすることはできますか?
☞ 自宅を事務所として、経営管理ビザの申請をすることは不可能ではありません。ただ、申請の難易度が上がりますのでおすすめできません。可能な限り自宅を事務所とすることは避けたほうがいいかと思います。
Q.経営管理ビザの対象となる業種には、制限はありますか?
☞ 制限はありません。ただし、日本人が設立した場合同様、日本において違法とされている業務以外は、経営管理ビザの対象として認められます。ただし、その業務を行うためには別途の許認可を必要とする業種がありますので注意が必要です。
Q.美容室の経営管理ビザの取得者は、現業業務を行うことはできませんか?
☞ 経営管理ビザでも経営者としての業務遂行上不可欠な場合は現業業務も不可能ではありません。ただ、入管としては「好ましくない活動」と捉えていますので、更新の時にこの点が問題になることもあります。
ここではっきり言えるのは、現業業務が「主たる活動」となってはいけない、ということです。勤務時間の多くを現業業務に費やしている場合には資格外の活動を行っているとして違法となります。気をつけてください。
Q.ホテル暮らしの方が敷金や礼金もいらず、コストも安く、経済的なので、賃貸物件で住居を借りず、ホテルを住所にして日本で生活したいのですが、可能でしょうか?
☞ 現行制度ではホテル暮らしは認められません。経営管理ビザが認められるとその外国人は法律上の「中長期在留者」となります。そして、中長期在留者は市区町村役場において、住民登録の必要があるところ、一時滞在しているにすぎないホテルを住所として認めることは望ましくないからです。
Q. 経営管理ビザ申請するために、行政書士に報酬払ったら、事業計画書などの書類作成は完全に行政書士にお任せしてもよいでしょうか。
☞ 事業計画書・年間投資額説明書等の書類を的確に作成できるかどうか審査結果に大きく影響を及ぼします。しかし、実質的な経営がなく、完全に行政書士に任せたら、まず、書類偽造の法律違反という疑われますし、経営活動を行うことにも支障が出てきます。基礎でもいいので、しっかり行政書士と相談しながら、書類作成をしましょう。
Q. 日本での生活は未知なことばかりで、経営管理ビザを取得後、経営管理上にもし疑問があれば、税理士や社労士など専門家を紹介してくれますか。
☞ 外国人や外国会社の日本進出の場合、ビザ申請の問題をクリアできるかが一番大きな問題となります。ですので、まずはビザ専門の行政書士に相談、依頼することが重要です。そして、必要に応じて、当事務所から司法書士、税理士、社労士等を紹介することも可能なので、当事務所にお問い合わせください。